長野県の食文化
日本は東西に長く、様々な文化がありますが、ご当地
食文化もまた多彩です。ゼストクックが出店している
エリアでは長野県が最も西に位置します。長野といえ
ば、きれいな水で育まれた、そばや野沢菜などがイメ
ージできますが、そのほかにもこの地区にはいくつか
の特徴的な食文化があります。
長野でお盆といえば天ぷら
お盆の時期、長野に天ぷらは欠かせない食材です。しかも大きなお皿にドーンと大盛りで出てきます。スーパーのチラシにも、天ぷらの特売はやはり大盛りの写真が欠かせません。天ぷらの具材はナス、イカ、エビ、ピーマン、・・・と特別なものはないのですが、お盆には多くの家庭で天ぷらを食べます。
これとは別に珍しい天ぷらがあります。それは天ぷらまんじゅう。普通のまんじゅうを天ぷらにしたものです。なぜ天ぷらにするのかと地元の人に尋ねたところ「お供え物のまんじゅうだからです。時間がたつと乾燥して固く、食べにくくなるので天ぷらにしたという説があります」という答えが返ってきました。乾燥対策としてのアイディアが天ぷらだったのですね。ちなみに、北部のいい菜&ゼスト篠ノ井店では、天ぷらまんじゅうは扱っていません。これは南部と北部では文化が違うためです。長野では松本以南を南部=南信、松本以北を北部=北信と呼んでいます。
カツ丼はソース味が標準
お盆とは直接関係ありませんが、もう一つ特徴的なのがカツ丼。長野では通常の卵でとじたカツ丼と、ソースカツ丼とがあります。南信でカツ丼といえばソースカツ丼が一般的です。ある店でヒレカツ丼を注文してみたら、大きなどんぶりに一口サイズ(といっても直径6~7㎝、厚み1㎝ほど)のソースがたっぷり浸みた、大きなカツが4枚も乗ってきました。ごはんにもソースが浸みていわゆる「つゆだく」状態。都内で食べるカツ丼とは圧倒的に量が違います。もはや普通の1食分をはるかに超えています。数店でメニュー写真のカツ丼を見比べても、やはり同じようなボリュームに見えます。これが普通に出てくるとなると、長野の人は胃袋がかなり強いのでは、と感心してしまいます。ちなみに北信では、卵とじカツ丼が一般的とのことです。
また長野県では魚の煮つけも消費量が多く、スーパーでもかなりの種類が販売されています。佃煮も一般的で、中にはイナゴやハチの子の佃煮も、普通に販売されているのには驚かされました。
ご当地文化とあらためて認識
お盆に天ぷらを食するという、長野県の食習慣はちょっとした経済効果をもたらしてくれます。いい菜&ゼスト駒ケ根店では、お盆の時期は天ぷらだけの売り上げが、通常の1日分にも相当するほどです。訪問日は15日(月)で週末ほどの忙しさではないものの、まずまずの売れ行きで、売り場では天ぷら盛り合わせが、かなり減っていました。ソースカツ丼は完売です。「今年のお盆は13日、14日が土日なので、短期決戦でした。」と守屋店長は振り返ります。
天ぷらまんじゅうやイナゴの佃煮というユニークな食文化も、長野県では日常文化の光景です。これからもご当地食文化やエピソードを、生の情報を加えてお届けいたします。