ちょっと小粋に「おばんざい」
今月の商品のテーマは「京のおばんざい」です。1960年代辺りから京都の家庭料理のことを一般にこう呼ぶようになりました。本来は日常食べられているお惣菜のことで、京都の土地柄、旬の素材、手近な食材を手間をかけずに、使い切れるよう考案された献立です。なるべく食べ残しの出ない分量だけ作り、もの足りなければ、作り置きの漬物などで補うという考え方です。余計なお金も時間も労力もかけずに、京都ならではの合理的な家庭料理ですね。
普通の庶民の食事だった
実は、おばんざい=お番菜、という言い方は京都以外で使われ始めたらしく、京都では、ただ「おかず」と呼ばれていたそうです。スーパーやデパ地下、錦市場などで買ってきて自宅で食べる惣菜でした。普段の食卓に並んでいるものです。ところが、観光客にとっては、この普通の家庭料理がとても素敵に見えたのです。粋な小鉢に盛り付けるという分け方は、それほど意識されていないことだったのでしょうね。このことがテレビや女性誌などで報じられるようになり、小鉢のデザインなども含めて一気に広まったのです。
とはいっても、普通の家庭料理なので、野菜料理や肉料理や魚料理など、日常の家庭料理が中心です。それを小鉢に見栄え良く盛れば、手軽なおばんざいの出来上がりです。
京のおばんざいを自宅で
由来はどうあれ、東京の人にとって京都のおばんざいは、憧れで特別なものです。そこでゼストクック各店では、おばんざいをイメージした惣菜の販売を9月より始めました。リニューアルオープンの新杉田店でも力を入れています。メニューは「ぜんまいと竹輪の煮物」、「すきやき」、「根菜と生姜の炒め物」など、食卓では珍しいものではありませんが、いつものように夕食の惣菜を買いにいくと、そこにはおばんざい風の商品が並んでいます。ちょっと盛り付けを工夫すれば「夕食は小粋な京のおばんざい」なんて普段の食卓がちょっとランクUPしたようで、気分も上がりますよね。